セシル君は素直になりたい(15)
頷くと、唇を塞がれた。
そうして彼は、ボクの呼吸が落ち着くまで舌を味わい、
やがて、ズボンをくつろげた。
取り出されたソレの大きさに、
ボクは改めて喉を鳴らす。
でも、もう平気だ。
怖くないと言えばウソになるけど、
ヴィンセントに抱いて欲しいと思う気持ちの方が大きい。
ボクは両足を開いた。
ヴィンセントがボクの片足を抱え上げて、肩に乗せる。
「……セシル」
お尻に、熱い先端が押し当てられた。
ボクは、ヴィンセントの体の傷に指を這わせた。
彼の生きてきた証。
その中には、ボクを守ってくれて出来た傷もたくさんある。
「……んぐっ」
散々解されたお尻の穴に、
指とは比べようもないほど大きなものが潜り込んできた。
メリメリと孔が拡げられる感触。
「い、痛っ……」
あまりの痛みに、ボクは声を上げてしまった。
すると、すぐにヴィンセントは腰を引いた。
ボクは慌てて彼に縋り付いた。
「やだ……止めないで……」
「だが……」
「痛くてもいい。ヴィンセントのこと、奥まで欲しいんだよ……!」
ヴィンセントが息を飲む。
「……分かった」
彼は苦しげに頷いてから、
抱え上げたボクの足のふくらはぎにキスをして、再び腰を進めた。
ボクは右腕を自分の口に押し当てた。
歯を立てて、声を押し殺す。
ヴィンセントが、ボクの中にゆっくりと入ってきた。
「ん、ぐっ……う……ぅ……」
痛い。凄い、痛い。めちゃくちゃ痛い。
「セシル、悪い……
痛い思いをさせて……」
「は……初めて、なんだから……当たり前……だろ……」
ムリヤリ微笑んでみせれば、
彼はボクの屹立をそっと握り締めた。
「はぅっ……!
ちょ、なんで、ソコっ……扱いてっ……」
「……少しは気が紛れるだろう?」
ヴィンセントの手が上下するにつれて、
お尻の痛みにしゅんと萎えていた屹立が、
また少し勢いを取り戻していく。
「はっ、あ、ぁっ……んっ、ふぁ……」
串刺しにされるような苦しさが、
だんだんと引いていった。
体を小刻みに揺すられ、
ヴィンセントは、慎重に事を進めていく。
「あ、ウソ……入ってる……」
「…………セシル、大丈夫か」
やがて、ヴィンセントの茂みがボクの股間にピタリと触れた。
「全部、入った……?」
「ああ。入ってる。全部……」
頷くと、彼は優しくボクの下腹部を撫でる。
胸にじんと温かなものが広がって、
ボクは瞼を閉じた。
「ヴィンセントの、感じるよ……
お腹の中でドクドクいってる……」
良かった。ちゃんと、ヴィンセントのことを受け入れられた。
物理的にムリとかじゃなくて、ホント良かった……
ヴィンセントはボクにのし掛かると、
額に唇を押しつけた。
次いで、こめかみ、頬、鼻先とたくさんのキスが降る。
でも、一向に動こうとしなくて、
ボクは焦れて、口を開いた。
「ヴィンセント……動かないの?」
「……血が出てる。無茶はできない」
そんなことだと思ったよ。
そういう優しいところが、たまらなくスキだけど、
同時に、凄くもどかしくもなる。
「そんなの……すぐ、治るでしょ。
ねえ、ヴィンセント。思うまま、動いてよ……
ボクのこと、スキ、なんでしょ……?
ボクも……お前から求められたいよ……」
「好きだから、痛い目には合わせたくないんだ」
そう呟いて、彼はボクの髪を撫でる。
その手に手を重ねて、ボクは意味ありげな眼差しをヴィンセントに向けた。
「ウソツキ」
「なに……?」
「お前さ、ボクと何年一緒にいるの……
ボクだって……ん、お前がウソついてたら分かるんだよ……?」
「嘘? 俺は、嘘なんて……」
「お前は、ボクのことを泣かせたいと思ってる」
じっと見つめて、ボクは言った。
ヴィンセントの眼差しが、戸惑ったように揺れる。
「ボクのこと、めちゃくちゃに泣かせて、
よがらせたいって思ってる……」
「そんなことは……」
「ボクが痛いって言った時、お前、凄く興奮してたよ……?
分かるもの。中で……大きくなったから」