人狼坊ちゃんの世話係

セシル君は素直になりたい(7)

 唇を尖らせて、ポツリと言う。
 口にした瞬間、バクバクと心臓が高鳴った。

「………………なに?」

「た、たくさん抜いてくれたお礼だよ」

 ボクは平然を装って続ける。

 このまま寝てしまった後、
 彼の欲求がどこに向かうのか考えると、何でか落ち着かなかった。

「……馬鹿なことを言うな」

「なんで? ココ、こんなに硬いのに。ヤりたいでしょ?」

 内腿を撫でて、指先で膨らみをなぞる。

「……っ」

「ほら。ねえ、早くズボン脱ぎなよ」

「冗談が過ぎるぞ」

「冗談じゃないってば」

 ボクは逃げるようにベッドから立ち上がった彼の手を引っぱった。

「もちろん女役はボクがしてあげる。そっちの方が自然だしね」

「そういう問題じゃない」

「じゃあ、どういう問題?」

 じいっとヴィンセントの顔を覗き込んで、ボクは小首を傾げた。

「ボクのお尻の中、指でグリグリしたの……
 そういう意図があったんじゃないの?」

 言葉に、ヴィンセントが目に見えて狼狽する。

 やっぱり。
 ヴィンセントだって、ボクとエッチしたいと思ってるんじゃないか。

 ボクはダメ押しとばかりに、節くれ立った指先に唇を押しつけた。
 ちろりと舌を出して、爪の先を舐める。
 舐めて、唇でくわえて、ちゅ、と音を立てて唇を離す。

 ヴィンセントが、もの凄く渋い顔をした。
 それから、長い長い溜息を吐いた。

「……お前は何も分かってない」

 そう言ったヴィンセントは、また苦しそうだった。

 それでもボクが手を離さないでいると、
 諦めたのかボクをベッドに組み敷いた。

「…………本当にいいんだな?」

「良くなかったら、こんなこと言わないって」

 ボクら、もうエッチしたようなもんじゃないか。
 むしろ、これでおしまいにする方が不自然だと思う。

 促すように、ボクは瞼を閉じた。
 ヴィンセントの指が、ボクの髪をを優しく梳く。

「ん……」

 それから彼はズボンをくつろげ、
 反り立った欲望を取り出した。……のだけれど。

 ソレを目にしたボクは、ヒクリと口の端を震わせた。
 ちょっと、いや、たぶん、凄く……
 …………要するに、彼のソレはとても立派だった。   『別に大したことない。ボクがちゃんと年相応に成長していたら、
 それくらいはデカくなってる』
 ――なんて、強がっても言えないレベルだ。

「……足、開け。もう少し解そう」

「え、あ、う……うん……っ!」

 恐怖を気取られないようにボクは明るく頷いた。
 唾液を絡ませた太い指が、ゆっくりと中に侵入してくる。

「ん、ぅ……っ」

 つ、と背中を冷たい汗が流れた。
 解したとして……こんな大きさ、入るもの?
 こんなの挿れられたら、体が裂けちゃうんじゃないか……?

「力を抜け」

「わ、分かってるよ!」

 ボクは瞼を閉じると、何も見なかったことにした。
 そうして、ヴィンセントの心地良い指の動きに集中しようと努めた。

 大丈夫。しっかり解せばなんてことない。
 あんな狭かったのに、ヴィンセントの指が入ったくらいだ。
 きっと、もっと柔らかくなれば、もっと太くたって問題無くいける。はず。

「……セシル」

「なに」

 薄く目を開ければ、ヴィンセントが心配そうにボクを見下ろしていた。

「怖いんだろう?」

「は……はあっ!? こっ、怖くないし!」

「震えている」

「震えてないってば!」

「それなら、これは……感じてるのか?」

「んぁっ!」

 お尻の中で、ヴィンセントが指を曲げた。
 敏感な部分を突かれて、衝動的に腰が揺れる。

「ここか」

「ひゃっ、あぅっ、ヴィンセントっ……
 そこ、はっ……」

 1本の指で、的確に感じる場所を攻められた。
 更にもう1本指が追加されて、グッとお尻の穴が拡げられる。

 ヴィンセントの指が、出たり入ったり、中でバラバラ動いたりした。
 更に、もう1本指が追加されて呼吸が荒くなる。

「痛いか?」

「だい、じょうぶ……」

 苦しいとは思った。でも、痛くはない。
 それどころか、ヒリヒリした感触がなんだか気持ち良いくらいで、
 ボクは……凄く恥ずかしかった。

「あっ。う、ヴィンセントっ……」

 ゆっくり、じっくり、拡張されていく。

「ん、んんっ……ふぁあ……」

 やがて、頭がふにゃふにゃになった頃、指が抜かれた。

「……来い。セシル」

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