人狼坊ちゃんの世話係

セシル君は素直になりたい(8)

 ベッドの淵にヴィンセントが座り、ボクの腕を引いた。
 向き合うようにして跨がれば、問答無用で現実を突きつけられる。

 すなわち、そのーー彼の大きさに、だ。
 快感にとろけた頭でも、さすがに理解できた。
 指3本分、解れていたとしても、
 せいぜい先端が入るか入らないかくらいだろう……

「……座れ」

「う、うん」

 けれど、今更怖いとも言えない。
 ヴィンセンに促されるまま、ボクは恐る恐る腰を下ろしていく。

「もう少し後ろだ」

 そう言うと、ヴィンセントに腰の位置をずらされた。

「え?」

 ペタリとボクは彼の膝近くに座った。
 反り立つ屹立同士が、くっつくような体勢だ。

「手を貸せ」

 ヴィンセントに手を握りしめられたかと思うと、
 2竿同時に握りしめるようにされた。

「ま、待ってよ。挿れないの?」

「ああ。……壊してしまいそうで、怖い」

 壊れないし。壊れても、別に死徒なんだから、すぐに治るし。
 そんな言葉を、ボクは咄嗟に飲み込んだ。

「…………分かった」

 ボクは両手で輪を作ると、2竿の根元を握り締めた。
 躊躇いがちに手を上下させれば、ヴィンセントの体がビクリと震える。

「……っ」

 熱い吐息が耳朶に吹き掛かり、心臓がドクンと跳ねた。

 ヴィンセントが感じてる。
 ボクの、手で。

「……ねえ。強さはこれくらい?」

「ああ……」

「ふぅん。結構、強めが好きなんだ」

 ボクは気がつけば夢中で手を動かしていた。
 ボクのソコと、ヴィンセントのソコはあまりに大きさが違うから、
 彼の先端を目指してシゴくようにすると、
 手の平がつるんと敏感な部分を滑って、心地良い。

「……ヴィンセント、気持ちいい?」

 頷いたヴィンセントは、見たこともない無防備な顔をしていた。
 頬を赤らめて、眉根を染めて、苦しそうだ。
 引き結んだ唇の間から、ふぅふぅと荒い呼吸が漏れ出ている。

 死ぬようなケガをしても、こんな風に乱れたことなんてないのに。
 何故だか胸の高鳴りが激しくなって、ボクは喉を鳴らした。

「ここ……凄く熱いね。さっきから、ビクビクしてる」

「気持ちがいいからな。
 だが……悪い。イクまで時間がかかると思う」

「いいよ。最後までシてあげる」

「ありがとう」

 ボクは一生懸命、手を上下させた。
 自分の方が先に限界を迎えたけれど、奥歯を噛んで堪えた。
 少しでもたくさん、ヴィンセントの感じる顔を見ていたかったからだ。

「……っ」

 ヴィンセントのこめかみが、ピクリと震える。

「セシル……触るぞ」

 やがて彼はそんな断りと共に、
 ボクのパジャマのボタンを外した。

「えっ……なにし……  ――んぁっ!」

 素肌が露わになると、彼はボクの胸の突起を指先でつまんだ。

「ひ、ぁ……ちょ、そこはっ……」

 顔を上げて抗議をすれば、唇を塞がれる。

「んむ、ぅ……ん、ンッ!」

 怯む舌を絡め取られ、
 唇でシゴくようにされると、もうダメだった。

 昂ぶる衝動のまま手の動きが加速してしまう。
 上からも下からも、ぐちゅぐちゅとエッチな水音が立った。

 ダメ、ダメだ……また、ボクだけイッちゃう……

「ん、んん、んっ……」

 つ、と飲み下せなかった唾液が顎を伝った次の瞬間、
 ボクはギュッと竿を握りしめて、ビクビクと体を震わせた。

 さっき、たくさんイかされたせいで、白濁は透明に近い。
 勢いもなく、ただ隘路からダラダラと溢れ出る。

 すると、止まったボクの手にヴィンセントの手が重なった。

「んひっ……!」

 引き継ぐようにして、彼がシゴき始める。

「や、ま、待って、今、イッたばっかり、ぃっ……!」

 腰を引けば、もう片方の手で腰を掴まれた。
 咄嗟に膝立ちすると、口中を貪っていた唇が胸に吸い付いてきて、
 ボクは悲鳴を上げる。

「ひぐっ……!
 やめ、やめて、ヴィンセントっ……!」

 名前を呼ぶと、手の中で屹立が太くなった。

 彼は止めてくれなかった。
 それどころか、手の動きも、胸を吸う強さも、激しさを増した。

「や、ぁっ……おか、おかひくなるっ……」

 苦しいほどの快感に、涙が散った。
 絶頂の余韻を味わう間もなく、再び高みへと放られ、
 ボクはひぃひぃ喘いで、ヴィンセントにしがみついた。

 ヴィンセントのバカ。
 早くイけよ、バカ……!

「ひっ、ぃっ……あっ……あぁああっ……!」

 ボクは子供みたいに泣きじゃくって、また果てた。
 ヴィンセントはちっともイかずに、
 ボクの乳首を吸って、舐めて、ソコをずっと擦ってて……

 結局ボクは、醜態をさらした挙げ句、
 ヴィンセントが果てるのを見届けることすら出来ずに意識を手放したのだった。

-90p-