忍び寄る「黒」と赤い過去(11)
「んっ……」
細く、長い指が敏感な部分を掠める。
背をしならせれば、ユリアは探るように指を動かし始めた。
「中、凄く熱いね……
絡みつくみたいに、中、うねってる……」
「んくっ、ふぁっ……ユリ、ア……」
自分でも驚くような甘ったるい声が出た。
それが余りに恥ずかしくて、オレは再びユリアの剛直を口に含む。
すると、中を弄っていた指が2本に増えた。
「ん、んんっ」
逃げ腰を掴まれ、奥まで指を挿入される。
次第にユリアの指使いは大胆になっていった。
「こんなに……拡がっちゃうんだ…… 凄い……エッチだね……」
「ふ、は、ぁ……あぐっ……」
じっくりゆっくりと掘削される。
熱い視線が後孔に注がれているのを感じる。
気が付けばオレは、ユリアの屹立をくわえたまま、
されるがままになっていた。
「ねえ、気持ち良い?」
「ん……ぁ、いいよ……すげぇ……」
「本当? 僕、ちゃんとあなたのこと感じさせられてる……?」
ユリアの片手が、陰茎を握り締める。
すると彼はあっと声を上げた。
「バンさん。ココ、ちょっと硬くなってる……
本当にお尻の穴で気持ち良くなってるんだ……」
グウッと3本目の指が押し入ってきた。
快感に内股が震えて、剛直を咥えた唇の端から唾液がつ、と垂れる。
少し苦しくて、最高に気持ち良かった。
「指、3本も入っちゃったよ。バンさん。
あんなに小さな穴だったのに……」
粘膜を押し拡げるように、バラバラと指を動かすと、
ユリアはほう、と熱い吐息をこぼした。
「お尻の皺、なくなっちゃった……
僕の指、食べるみたいにモグモグ震えてる……
気持ちいいんだね、バンさん。お尻、弄られて、感じちゃってるんだね……」
「ん……指も、ぁ、いいけどっ……
もっとでけぇのなら……もっと……気持ちいい……から……」
ちゅぱちゅぱと、ねだるようにユリアの屹立にキスを落とす。
「ユリア……オレ、もう我慢できねぇ……っ」
「僕も……バンさんの中に入りたい……」
扱かれながら、指が激しく中をかき混ぜるように動く。
たまらなかった。
全身が快楽の坩堝になったように、気持ち良くてたまらない。
オレは夢中でユリアの肉竿を舐め回す。
これが欲しい。
一息にぶち込んで、最奥をガンガン突き上げて欲しい。
――その時だった。
「使用人。話があるんだけど」
短いノックの後、廊下からセシルの声が聞こえた。
快楽の階段を駆け上っていたオレたちは、一瞬動きを止める。
「おい。寝てるの? おーい」
ノックの音が次第に大きくなっていく。
ヌプンとユリアの指が中から引き抜かれる。
オレはと言えば……何も聞こえなかったことにして、
愛撫を続行することにした。
「ば、バンさんっ……セシルが……」
無視して、ユリアの屹立を激しく扱く。
「ん、ちょ、あっ……っ」
放っておけば、諦めて帰るに決まっている。
話なんて、夜になってからでも聞けるのだ。
「バンさんてばっ……」
「ねえ、起きてるんだろ?
……さっきのこと、本当に悪かったよ。お前が怒るのも無理ないと思う。
だけど、ボクには時間がなくて……
ねえ、せめて話だけでも聞いてよ。
ボク、どうしたらいいのか、分からないんた。お願いだよ……」
「ん、ぁ、うっ……い、イッちゃ……」
「……ちょっと! 聞いてるんだろ!?
こんなに頭下げてるのに、無視するってありえないでしょ!?
お前には血も涙もないのかよ!!」
ガチャ、と、ドアノブが回る。
……え。
あ、鍵。
鍵は、閉め――――――
「みゃああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁッッッ!!?」
屋敷中に響き渡る声で、セシルが悲鳴を上げた。
鍵は、閉め忘れていた。