人狼坊ちゃんの世話係

パーティナイト(3)

 あっ、と思った。
 しかし、何とかして顔に出さないよう努める。
 ヴィンセントはピクリとも表情を動かさずに、セシルに手札を向け――

「……え」

 やがて、セシルが口の端を引き攣らせた。
 どうやら彼の元にジョーカーが戻ったらしい。

 彼は物凄い勢いで手札をシャッフルした。
 そうして顔を背け目をつぶったまま、オレにカードを押し付けてきた。

 ……まずい。どれがジョーカーか分からない。

「は、早く引けよ」

 セシルの持つ3枚のうち、1枚がジョーカー。
 一方、オレの手札は1枚。
 つまり、ペアになる数字はセシルとヴィンセントのどちらかが持っている。

 これは、外せない。
 下手をしたら、使用人であるオレの方が先に上がってしまうことになる。

 オレは慎重にセシルの手札を見た。
 しかし、3枚の内どれがジョーカーかなんて分かるわけがない……
 ええい、ままよ! と、オレは思い切って1枚を引いた。

 ……。
 …………。
 ………………。

 そして、オレは……出来上がってしまったペアを場に捨てた。

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