最果ての約束(3)
「~~~~~!!」
とろけるほど解されたソコに、灼熱の楔が撃ち込まれる。
声にならない声を上げて、オレは真っ白な高みへと放られた。
「すご……中、ビクビクしてる……」
隙間なく繋がっているのに、
ユリアの切なげな声は何処か遠い。
「動きますよ」
「う、動くな、今、今イッ……」
「知ってます」
ぼやぼやした視界で、
ユリアは微笑んだようだった。
「あぁああっ、あっ、あっ、はぁっ、うぁっ!」
ガッチリと腰を抱かれ、
怒涛の勢いで最奥を突き上げられる。
「ねえ、バンさん……気持ちいいね?」
「う、ぅぅ、んっ、ふっ、は、ぁ」
気が遠くなる。
しかし、手放しかけた意識は、
苦しいほどの快感に、また引き戻される。
出し入れされる長大な熱は、
心地よい部分をこねくり回し、擦り上げ、
オレを容赦なく攻め立てた。
「ぎもぢいっ、奥、すごっ、あっ……」
飲みくだしきれなかった唾液が顎を伝う。
焦点が合わない。
舌もこぼれ出ているかもしれない。
とにかく、先ほどからオレは酷い顔をしているに違いなかった。
「可愛い……」
「んむぅっ」
「可愛い可愛い可愛い……!」
グッとユリアはオレを押し潰すようにして、
唇に吸い付いてきた。
太くてザラついた舌が、口の中を縦横無尽に這いまわる。
「ぅっ、んっ、んんっ、んウッ」
舌を絡めとられ、表面を擦り合わせる。
吸い上げられたかと思えば、唇で扱かれた。
「はへぁ……」
前後不覚というのは、こういう事を言うのだろう。
オレはただ揺さぶられるがまま、
何度も高みへと放られた。
「バンさん、中イキっぱなしだね……
ホント、可愛すぎ……」
「うぅ、ふぅう……」
「……そろそろ、前でもイッていいよ」
パンパンに膨らんでいた屹立の根本から、
ハンカチが外される.
「ひっ、ぁ!」
その瞬間、下腹部で渦巻いていた熱が一気に尿道を駆け上った。
「あああぁぁっ!」
白濁が噴き上がるものの、ユリアの動きは止まらない。
「や、突くなっ、息できなっ、あぁあっ、あっ!」
本能的な恐怖すら覚えた。
けれど、拘束された手では安心を得ることすら出来ない。
「ひっ、ふぐっ、うっ、ゆりあ、ゆりあっ……」
涙ながらに訴えると、動きが緩やかになり、
ちゅ、と頬に優しいキスが落ちた。
「……傍にいるよ。バンさん」
「手、外してくれ……
お前の、こと、抱きしめたい、んだっ……」
「うん……」
ユリアは頷き、手錠に触れる。
軽快な音とともに、オレの手は自由を取り戻した。
ユリアの大きな背に手を回す。
それからねだるように目を閉じれば、
唇を塞がれた。
「ん、んんっ、ん……好きだ、ユリア……好き……」
「僕も大好きです……」
ゆっくりと、再びユリアが動き出す。
自然と腰が上下に揺れる。
「はぁ、エッチだね……
自分からお尻振って……そんなに、気持ちいい……?」
「んっ、んんっ」
オレはユリアの腰に足を絡めた。
力強く引き寄せ、固定する。
「バンさん、これじゃあ動けないよ」
ユリアが困ったように笑った瞬間、
オレは残った力を振り絞って、ゴロリと横に回転した。
「バ、バンさん……?」
ユリアがビックリしてこちらを見上げる。
オレはニッと口の端を持ち上げた。
「さっ……き、から、好き勝手やりやがって……!
お前……生意気なんだよ……!」
肩で息をしてから、身体を弾ませる。
「あっ!」
グラインドからの上下運動、それからまたグラインド……
緩急をつけて、キツく後孔を締めて、腰を振るう。
「そ、んなっ、動いたらっ」
ユリアの頬がみるみる赤く染まっていく。
「こちとらっ、元本業なんだ!
ヒィヒィよがらせられて、終わってたまるかってんだ……!」
「ちょ、あっ、バンさ……!」
「うるせえ、イケよ。おらっ! おらっ!!」
「うっ、ふ、ぁっ……くっ……!」
目を閉じて、ユリアがブルリと身体を震わせた。
ドプドプと最奥に注がれる精に、甘く下半身がとろける。
「……へばらせねぇからな」
「ま、まって、今、イッたばっかりでっ」
「ああ? お返しだよ!」
「あぁあっ、やっ、あっ!」
「はぁ……はは、可愛いな? ユリア」
「つ、ううっ」
「ヨダレ垂らして、あんあんよがって……
お前の方が突っ込まれてるみてえ」
「そんな……」
「イッたばっかだっつーのに、パンパンじゃねぇか。
ほら、もっかいイけよ!」
「ん、んんっ、んっ」
初めは抵抗を試みようとオレの腰を掴んでいた手は、
気がつけばグリグリと下に押すような動きに変わっていた.
「出る、出ちゃうよ、バンさ……」
穴口が、限界まで押し広げられる感覚。
ビリビリと痛みに似たソレに、
足先から電流のような衝撃が脳天へと突き抜ける。
竿肌に浮かぶ血管が、ビクビクと脈動し始めた。
腰を一息に落としたのと、
ユリアの突き上げが合致する。
「んンンッ……!」
肉棹が跳ね回り、
生温かなものが腹の奥に染みていく。
「2回目だってのに、たくさん出たな……?」
ユリアの吐精が終わる頃、オレはゆっくりと腰を持ち上げた。
淫らな音を立てて、後孔から垂れる白濁を見せつけるようにする。
「ほら」
「……っ」
「まだ、出せ――」
出せるだろ?
そう続けようとした言葉は、途中で嬌声にとって変わられる。
腰を掴まれたかと思えば、再度突き上げられたのだ。
「おまっ、一気に……っ」
「煽ったのはバンさんでしょ……っ!
もう、寝かせてあげないから……」
ユリアの目が据わっている。
どうやら、火をつけてしまったらしい。
「そりゃこっちのセリフだ」
しかし、負けたくないのはオレも同じだ。
オレたちは甘く口付けを交わしながら、
夜通し、淫らな勝負に興じた。
* * *
「やべっ、仕事っ……!」
朝。勢いよく、上掛けが押しやられた。
隣で寝入っていたバンさんが起きたらしい。
「ん……まだ、早いでしょ……」
外気に晒された素肌が粟立つ。
不満げに彼を抱き寄せようとすれば、
ピシャリと手を叩かれてしまった。
「ダメだ。もう前みたいに、ふにゃけた日常過ごしたくねぇんだよ」
「今日くらいいいじゃないですか」
「ダメ。それじゃあ、また朝にな」
「うー……」
脱ぎ散らかした服を掻き集めて適当に着込むと、
彼はさっさと部屋を出て行ってしまう。
こちらを振り返りもしない。
「仕方ない。僕も起きるか……」
僕はあくびを噛み殺すと、
のそのそと身体を起こした。
もう少しだけ、昨日の甘い余韻に浸っていたかったのに。
「世話係なんて、辞めちゃえばいいのに」
虚しく閉じた扉をぼんやり見つめていれば、
そんな言葉が口を突いて出る。
僕はその言葉にハッとした。
降って湧いたアイデアは、震えるほどいい考えのように思われた。
* * *
それから、3カ月くらいしたある日。
オレはユリアに呼び出された。
「どーした?」
自室のソファに座っていたユリアは、
オレの姿に立ち上がった。
彼の様子は、いつもとどこか違う。
緊張、しているのどろうか?
彼はオレを対面のソファに座らせると、再び腰を下ろす。
それから神妙に手を組むと、口を開いた。
「いろいろ考えたんですけど……
バンさん、世話係辞めてください」
「は……? はぁっ!? それって、つまり――」
オレはソファから、蹴るようにして立ち上がった。
「クビってことか!?」