最果ての約束(2)
「これくらいって、こんなもんいつ買ったんだよ!
オレ知らねぇぞ!?」
「もちろん隠してましたから」
ニコニコしながら、ユリアが言う。
「今日はたくさん、
あなたの可愛い声、聞かせてくださいね」
そんな言葉に、ひくり、と口の端が震えた。
なんだろう、なんていうか……ユリアがユリアじゃない。
いや、ユリアなんだが、
どことなく強引さとかがアイツを彷彿させるような……
そんなことを考えていると、ユリアはオレの足の間に身体を滑り込ませてきた。
慣れた手つきで服のボタンを外していく。
続いて、ベルトを抜かれ下着ごとズボンを脱がされた。
こんな状況、店にいた頃は何度も経験したことがある。
それなのに、どの時よりもオレは緊張していた。
「んっ……」
熱い手が頬を包み込み、優しくさする。
触れるか触れないかの力加減で、指先を滑らせ、
ユリアの手は胸へと移動した。
「あぅ……」
さわさわと胸元を撫でられる。
時折、胸の中心を手のひらがかすめて、ビクリと身体が跳ねる。
「バンさん、今日はとびきり敏感だね」
「……久々だから」
「うん。
ご無沙汰だった分、とろとろにしてあげるから」
ユリアはオレを見下ろすと唇を舐めた。
いつもなら、気持ちいいかどうか不安げに問いかけてきたりするのに、
やっぱりなんだか様子が違う。
「ん……」
彼はオレの首筋を舐めあげてから、
クニ、と胸の突起を摘んだ。
初めは触れるだけの加減で。次はちょっとだけ強く。
それから痛いほど摘んで引っ張られる。
「あ、ぅ、あっ……ゆり、あっ……」
変則的な刺激に身体がくねった。
首筋を味わっていた舌が、だんだんと弄ばれる乳首に近づき、
摘まれた先端をレロリと舐め上げられる。
「っ……!」
「可愛い……ここ、ホント弱いね」
囁きと共に、激しく吸いつかれた。
「ひぅっ、あっ、あぁっ、あっ!」
舌で下から上へと弾くようにされ、唇で扱かれ、
突起の周りを焦らすように舐められる。
もう片方は、指で執拗にこねくり回された。
「はぁ、はぁ、はぁ……」
自分だけ素っ裸になり、
一方的に快楽を与えられるのは、なんだかとても……その、恥ずかしい。
裸で相手を攻めるのとはわけが違う。
されるがままがこれほど心許ないものなのだと、
オレは今の今まで知らなかった。
「ふふ、すぐプクッて膨らんじゃった」
「そこばっか、触んなよっ……」
足がもじもじする。
前はとっくに痛いほど反り立ち、腹の奥がキュンキュン切なく疼いていた。
「我慢だよ、バンさん。
うんと気持ち良くなるには、我慢が一番……
って、あなたが教えてくれたんでしょ?」
「こんな、に、焦らしてねぇだろっ!」
「ええ? 泣くほど焦らされたよ?」
ユリアが引っ張った胸の突起を、交互に舐める。
知れず、オレは彼の腹に反り立つソコを押し付けるようにしてしまう。
扱いて欲しい。
根元から先端まで、ユリアの大きな手で包み込んで、
擦り立てられ、思い切り出したい。
なのに、ちっともユリアは下には触ってくれない。
ずっとちゅうちゅうと胸ばかり、吸い上げてくる。
「ひっ、ぅ、ううっ」
「ホント、可愛い……」
体勢的に快感を逸らすこともできず、
オレはイクギリギリを的確に攻められた。
頭が沸騰して、下半身が情けなく揺れてしまう。
「……ユリア、下……触ってくれ……
も、ホント……つれえ……」
悔しいけれど、泣きついた。
本当にどうにかなってしまいそうだったから。
「……仕方ないなあ」
胸からユリアの手が離れた。
しかしホッとしたのも束の間――
「こ、こらっ、何して……!」
両足を抱え込まれ、左右に大きく開かれてしまう。
「下って、ここでしょ?」
がっしりと腰を抱たユリアは、ツンツンと指先で後孔を突きながら口を開く。
「綺麗な色だね。……すごくいやらしい形してるし」
しみじみと呟かれた言葉に、オレは顔から火を噴くかと思った。
「みっ、見るなよ! バカ!」
部屋は明るいから、何もかも丸見えだった。
「今更でしょ?」
「いや、そうだけど! なんか……なんていうか……」
今のユリアに言われると、
胸の動悸が激しくなりすぎて、困る。
……オレは一体どうしてしまったんだろう?
「ああっ!」
クチュ、と唾液を絡ませた舌が後孔を舐める。
しかも、足を抱いていた手は胸に再び戻ってきて、
また乳首を弄り始める。
「もっ、いいからっ! いいから、挿れろよ……っ」
「ダメ。久々だから」
「解す必要なんてねぇだろ!?
散々ヤッてんだから――」
身体を捻ると、脇腹をくすぐられた。
「わひゃっ!」
ガチャガチャと手錠が音を立てる。
「ひっあっ、あ」
息ができない。
気持ちいいんだか、くすぐったいのか、訳がわからない。
「ワガママ言うと、ずっとくすぐっちゃうよ?」
「そ、れはっ」
「どっちがいい? 乳首気持ちよくなるのと、くすぐられるの」
「う……」
「……バンさん。意地張らないで、僕に全部任せて。
とろとろに気持ちよくしてあげるから。ね?」
ね? じゃねーんだよ。
もう限界なんだよ……!
「はぁ、ぁ、あぁ……
イキたい……ユリア……」
少しでも、前を弄ってくれたらイケるのに。
ユリアは徹底的に屹立には触れず、
後孔と胸ばかりに集中している。
「尻、切なくて、おかひくなる……も、むり……だ……ぁ」
以前のユリアはどこか必死過ぎて、
結果的に焦らされていたわけだが、
今回はあからさまにオレを翻弄してくる。
攻められてヒンヒンよがってた可愛いユリアは何処に行ったんだよ?
奥歯を噛み締めて、荒い呼吸を吐き出す。
今、オレは、とてつもなく酷い顔をしているに違いない。
「ここ、先走りでベタベタ……」
「んぅっ!」
ふいに、ユリアが屹立の先端に触れた。
「ユ、リア……」
「……すぐイッちゃいそう。困ったな」
そう呟くと、ユリアはどこからともなく取り出したハンカチで、
肉竿の根元をギュッと縛った。
「は? おま、何し――あぁあっ!」
パクりと屹立を咥え込まれる。
続いて、重点的に傘張る先端をじゅるじゅると吸い上げられた。
「やめ、先端っ! 吸うなっ……!
今、敏感れっ……」
「なんへ? きもちいいれしょ?」
「咥えながら、しゃべんなっ!
あっ、バカっ……イク、イクイクっ……!」
腰が浮く。下腹部にわだかまった熱が弾ける。
その直前、パッとユリアは口を離してしまった。
「っあ……ッ」
ハンカチのお陰で、中途半端に果てることはなかったが……
渦巻く熱情に視界がボヤけ、飲み下し切れなかった唾液が口の端から顎を伝う。
「イッちゃダメですってば」
「い……イキたい……おかひくなる……
ユリア……ユリア、頼むからぁ……っ」
「とろとろですね……」
ユリアがごそごそとズボンをくつろげる。
「ま、待て。挿れ、んなら、これ外し……」
「後ろだけでイけるでしょ?」
「やっ、あれは……苦しいから……」
腰が浮くほど膝を抱え上げられる。
足の間から、驚くほど長大な肉欲が見えた。
ぐ、と熱が押し当てられる感触。そして――