「ヤらせてやれよ」(2)
驚愕する俺が貴文を問い詰めようとすると、前を佐藤たち数人に遮られた。
「ショータ。まぢなら、おっぱい見せてよ」
「何言って……」
「恥ずかしがってんの? え、何で? 体育祭とか、プールん時とか、
オレら、もうすでにお前の裸なんて腐る程見てるし、今更だろ!」
「そう、かもしれないけど……」
「見せてやれよ。減るもんじゃねえし」
貴文が口を挟む。
俺はゴクリと喉を鳴らした。
この場合、確かに意識する方が相手を性的な対象で見ているように思われるかもしれない。 しかし、嫌なものは嫌だ。
(……もし拒否したら、貴文はどう思うんだ?)
俺は無意味に眼鏡の位置を直すと、足先に目線を落とした。
(つまんねえヤツ、とか?)
それならまだいい。
だが、従順じゃない奴だなんて思われたら、今までの年月が無駄になる。
明日からは呼び出されなくなる……
そんなの、絶対にごめんだ。
「……分かった。その代わり、誰にも言わないでよ。
俺も自分の体の変化に混乱してるんだ」
「もちろん言わないって。ってか、
誰もショータが突然女の子になった! っつっても信じてくれないだろ?」
そう言って、佐藤が俺のシャツに手を伸ばす。
俺はその手を振り払うと、自らボタンを外し始めた。
「自分で脱げる」
指先は震えていたけれど、気付かないふりをしてボタンを外した。
胸を潰していたシャツを脱ぐ。
胸を晒すと、おおっと佐藤たちが歓声を上げた。
「すげぇ! まぢででけぇ! Dくらいあるんじゃねーの!?」
「バーカ。Hだ。トップとアンダーの差を見ろよ」
貴文の一言に、佐藤たちはしげしげと俺の胸を見つめる。
「こ、これが、Hカップのおっぱい……」
「……もう、いいだろ」
「えっ、もう!?」
手に持っていたシャツを着直そうとすれば、その手を止められた。
「何だよ」
「もったいぶるなよー。せっかくのおっぱいなんだからさ」
佐藤が目配せする。
その瞬間、いつの間にか背後に回っていた男に羽交い締めにされた。
「おいっ……何して……」
ふにゅんっ、と脂肪の塊を鷲掴まれたのはその時だ。
「うあっ……!」
「すげぇぇ! 超絶柔らけぇ! マシュマロみてぇ!!」
「や、やめっ……!」
佐藤が好き勝手に胸を揉む。
嫌悪感が足先から頭のてっぺんまで走り抜け、全身に鳥肌が立った。
「触るな! ってか、離せよ!」
力の限りに暴れるが、ビクともしない。
ズルイズルイと声が飛び、交代でめちゃくちゃに揉まれた。
淫らに形を変える乳肉に、野郎どもの頬はみるみるうちに赤く染まり、
呼吸が荒くなっていく。