このクズ野郎。俺と一緒に死んでくれ。

胸騒ぎ(5)

 * * *

 5限の開始を告げるチャイムが鳴り、授業が始まる。

 俺はと言えば、握り拳を机に押し付けたまま、か細い呼吸を繰り返していた。
 先程、貴文に弄り回された体は熱を持ったままだ。
 少しの衝撃で情けない声が出てしまいそうで怖い。

 教師がホワイトボードにペンを走らせる甲高い音が、教室に響いている。
 授業どころではなかったが、
 俺は平然とした表情を顔に貼り付け、ノートにペンを走らせた。

 脂汗が額に滲んでいた。
 中をみっちりと埋めている圧迫感から、意識を逸らそうと躍起になる。

 キツい。

 しかし、だんだんと貴文に装着された異物が中に馴染んできている。
 この調子ならば授業中にイクなどという醜態を晒さずには済みそうだ。
 そんなことを思っていると、唐突にソレがヴヴヴッと震えだした。

「……!」

 外の花芯を挟み込むイボイボが振動し、
 ドッドッと心臓の鼓動が激しさを増す。

「ぁっ……」

 俺は俯くと、唇を噛んだ。

(な、なんで、これっ、震えてっ……)

 初めは微かに震えるだけだったそれは、
 駆動音が近くの生徒に聞こえてしまうのではと不安になる程大きくなっていった。

「ぅ、ぐ……んひっ……」

 ピクンと体が跳ねる。
 更に、中に挿入されたシリコン製の竿がグリグリと回転を始めた。

(放課後まで、イクなって……こういうことかよ……っ)

 どこかで貴文が遠隔操作している。
 一定のリズムで、へその裏をゴリゴリと擦られ、花芯を容赦なく刺激され、
 ガクガクと膝が笑い出した。

「望。望翔太。聞いてるか? 次の英文を……」

 意識の端っこで、俺を呼ぶ声がする。

「おい。大丈夫か?」

 思いも寄らぬほど近くで声がして、ギクリと俺は顔を持ち上げた。

 気づかないうちにすぐ近くまで教師がやってきていた。
 彼は怪訝な顔をして俺の顔を覗き込んでいる。

「す、みません……」

 顔が熱い。
 ギュルギュル、ヴーヴーと、教室にあるまじき音が鮮明に耳に届く。

 バレる。
 絶対にバレる。

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