このクズ野郎。俺と一緒に死んでくれ。

胸騒ぎ(3)

 * * *

 無事、購買で弁当を買えた俺は、
 貴文と一緒に空き教室で昼食を済ませた。

「なあ。この弁当って、お前の手作り?」

 綺麗に弁当を平らげた貴文が問う。
 俺は空っぽの弁当箱を片付けながら、指先で鼻の頭をかいた。

「うん。つっても、ほとんど冷凍食品だよ」

「ふーん。あのチーズは? 売ってんの」

「ああ、クリームチーズの醤油漬けは、手作りだよ」

「すげー美味かった。酒に合いそう」

「そうみたいだね。母さん、それでよく晩酌してるから」

「ふーん」

 貴文が褒めてくれた。
 口元がにやけてしまいそうになるのを必死でこらえる。

「なあ。また昼飯交換しようぜ?」

「え?」

「美味かったから。食べたい」

「いいよ。また作ったらね」

「明日。もちろん、お礼はするって」

「お礼って……」

 貴文は悪どい笑みを浮かべると、俺の腕を引いた。

「そりゃもちろん、お前の大好きなこと」

 ガタンっと音を立てて、机の上につっ伏せられる。
 やがて、背後から覆いかぶさってきた貴文は俺のベルトに手をかけた。

「貴文!? ちょっ、誰かに見られたらっ……」

「お前が静かにしてれば、バレない」

 ズボンをくつろげられ、内腿をさわさわと撫でられる。

「ふっ……」

 俺は尻を突き出す格好で、口を覆った。

 その瞬間、指が媚肉 襞を掻き分け中に押し入ってくる。
 そうして、的確に快感のスポットを指で突かれた。

「は、ぁっ……ん、んんっ」

「お前って、本当……ココ、弄られるの好きだよな。
 糸引くくらい、すぐベタベタになる……」

 絶頂には届かないが、無視できない絶妙な力加減。

 もう片方の指で皮を剥かれ花芯を摘まれながら中を擦られると、
 思わず鼻にかかった甘い声が漏れた。

「あっ、あっ、貴文っ……」

「なんだよ? 尻振って」

 貴文は焦らすように、敏感な部分の直前を指の腹で押す。
 もどかしくて腰を揺らせば、スイッと指は逃げてしまった。

「や、やだっ、なんで……」

「言わないと分かんねーって。
 お前がもし可愛くおねだりできたら、まんざらでもねーけど」

「お、おねだり……?」

「そう。どこに何が欲しいか、明確に言ってみろよ」

 耳朶に囁かれたテノールの声に、腰がとろける。

 俺は唇を戦慄かせた。  いつも貴文が欲しいだけ差し出していたから、自分からねだったことなんてない。

「ぁうっ……!」

 貴文の指が焦らすように中をかき回し始める。
 舌が攣って、うまく言葉が出てこなかった。

 貴文が望むことは分かる。
 分かるけれど、羞恥心が勝る。

 けれど、それ以上に快感に追い詰められていく……
 俺は尻を突き出すようにしながら、掠れる声を絞り出した。

「……しい」

「なに?」

「挿れて……ほし……っ」

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