このクズ野郎。俺と一緒に死んでくれ。

秘め事(2)

「ん……いい……俺、男辞めるっ……貴文と、こんな風に……
 あ、ふぁっ、セックスできるなら……っ」

 俺は揺れる乳房を、両手で掬い上げ中央に寄せるようにした。

「はぁ、はぁ……貴文、もっと舐めて……」

「……分かった」

 貴文は思わせぶりに口を大きく開けて白くむっちりとした肉球の中央にパクつく。
 ついで巧みな舌遣いで、乳首を弾くようにしたり、唇で扱くようにしたり、
 思いきり吸い上げたりした。

「あっ、はぁっ……!」

「次は左だ」

「ひゃぁうっ……ふっ、ふぁっ、あぁっ!」

「ああ、俺も気持ち良いわ……お前の中、搾り取るみたいにうねって……最高……」

 乳首から口を離した貴文は、俺を掻き抱くと腰遣いを速めた。

「あひっ、あぁっ……貴文の、大きく……っ」

「そろそろイきそうだ。翔太、いいな? 中に出すぞ……」

「んっ……出してくれ……何度だって……俺の中に……っ」

 最奥を抉る屹立が体積を増して、肉道がギチギチと押し拡げられる。
 隙間鳴く繋がりながら抱きしめ合えば、もう胸は幸せ一色に染まった。

(たかふみ、たかふみっ、好き、好きだっ……!)

 唇が触れるほど近くに、夢にまで見た顔がある。
 整った薄い唇、張りのある鼻梁、どこか日本人離れした美しさ。
 そして微かなタバコの香りが鼻腔をくすぐる。

「出る……出るッ……くぅっ……!」

 精悍な顔が、悩ましげに眉根を寄せた。
 次の瞬間、ビクンッと俺を貫く剛直が凶暴に跳ね回った。

「あ……あぁぁっ、んぁぁぁ……!」

 貴文が、俺の中に射精している。
 何度も何度も彼に抱かれながら、俺は未だ夢を見ているような心地だった。

「たかふみ……好きなだけして……俺の体で気持ち良くなって……」

 役に立ちたい。彼のためなら何だってできる。
 女にはできないことだって……

(だから、貴文。俺を見てくれ。俺を、その他大勢と同じにしないでくれ)

「ああ。擦り切れるまで、使ってやる」

「ん……うれし……」

「……なあ、翔太。この垂れるくらいでけぇおっぱいは誰のだ?」

「貴文の」

「それじゃあ、俺にちんこ突っ込まれてアヘアヘしてるエロ穴は、誰の?」

「はは、もちろん貴文のだ」

「良い子だ。ほら、翔太、舌出せ。キスしてやる……」

「ん、ンむ、はっ、ふぁぅっ……!」

 唾液を流し込まれるような口付けに、俺は夢中になった。
 貴文は、肉槍を俺の中に埋めたまま俺をベッドに組み敷き、再び腰を動かし始める。

 幸せだった。とにかく、幸せだった。

 密かに恋していた相手が、夢中になって俺を貪っている。

 ……それがオナホ扱いだとしても、俺には十分だ。
 そもそも男だった俺は相手にされるはずもなかったのだから。

 目の裏返るような快感に、俺はとうとうか細い声を上げて意識を手放した。

 次に目覚めた時、貴文は俺の傍にはいないだろう。
 俺はいつものように、ベッドを整えにきたお手伝いさんに起こされて、
 気まずい雰囲気の中で制服に腕を通すだろう。
 ベトベトした体にシャツが張り付くのを、気持ち悪いな、なんて思いながら。

 それでも俺は、構わなかった。

-2p-