人狼坊ちゃんの世話係

秘められた蜜の味(3)

「……下着、汚れてるね」

 ユリアは下着についた白い粘液を指先に絡めると、
 しげしげと見下ろした。

「……なに、見てんだよ」

「だって……嬉しくて」

 そう呟くやいなや、彼は濡れた指を口に含む。

「おまっ……何してっ……!」

「ん……これが……バンさんの味……。
 ねっとりして……凄く、濃い……
 ねえ。この間の後、自分でしなかったの……?」

 問いに、オレは押し黙った。
 実はセシルのせいで寸止めを喰らった翌日――
 オレはユリアと別々に眠った時、自分で慰めた。
 が……出すのは、止めた。

 ユリアとする次の機会に、
 勃ちづらくなっていたらイヤだと思ったからだ。
 その後、数週間もそういう雰囲気にならないとは、
 その時のオレは考えもしていなかったから。

「……そういうお前は、どうなんだよ。
 あの後、自分でしたのか?」

 真実を白状するのはあまりに恥ずかしくて、逆に問いかける。
 ユリアはポッと頬を染めると、優しく目を細めた。

「……うん。したよ。バンさんのこと考えて」

「え……」

 意外なほどあっさりと認められ、オレはポカンと口を開く。
 ユリアは、指先でオレの反り立つ昂ぶりを、
 つ、となぞりながら、続けた。

「あなたに舐められたこと、思い出して……
 それだけじゃ物足りなくて、
 お尻の中に指を挿れた時のことも思い出して……」

「バカ……ンなこと、詳細に言わなくていいっつの……っ」

 恥ずかしいことを言っているのは、ユリアの方なのに、
 何故かオレの方が顔が熱くなる。

 視線を逸らせば、ユリアに耳たぶを舐められた。

「うぁっ……」

「お尻の中の熱さとか、ヒクヒク締め付けてくる感触とか……」

 唾液の音を響かせるようにして耳を愛撫される。
 彼の手は、いつの間にやらオレの肉竿を握り締めていて、
 ゆっくりと扱き始めた。

「あふっ……ユ、リアっ……」

「あなたと奥深くで繋がれたら、どんなに気持ちいいんだろうって、
 想像したりして……抜いたよ」

 腰に響く低音に、ピクピクと体が震えてしまう。
 欲望の先端に、じわりと透明な汁が滲んで、
 上下に擦られる度に水音が大きくなっていく。

「ん、くっ……ぅ……焦らすな……
 もう、無理だ……我慢、できなっ……」

 オレは奥歯を噛みしめて、掠れる声を絞り出した。

 ユリアが欲しい。
 体の奥深くで、繋がりたい。

 潤む視界の中で、
 ユリアが下唇をちろりと舐めた。

「うん。僕も」

 扱いていた手が離れた。
 それから、ユリアはオレを抱き上げると寝具に向かった。

「バンさん」

 ベッドに横たえられると、間髪入れずにユリアが覆い被さってくる。

「挿れるよ……」

 足から下着ごとズボンを脱がされた。
 荒い呼吸が鼻先に触れる。

 彼は全裸のオレを見下ろし、愛おしげに頬を撫でた。

「ん……早く、しろって」

 ユリアがズボンをくつろげる。
 取り出された剛直は、目を見張るほど大きい。

 オレは膝の裏に手をやって、両足を開いた。
 オレの手にユリアの手が重なる。
 グイ、と腰を支点に体を2つ折りにされ、尻が浮いた。

 足先が耳のすぐ脇にある体勢になると、
 ユリアは固く閉じた穴口に、唾液を絡ませた舌を差し込み解すようにする。
 焦ったように短い愛撫だった。    ……それが、逆に嬉しい。

「ん、ぐっ……!」

 傘張る先端が、疼く穴口に触れると、
 やがて指などとは比べようもない質量が、潜り込んできた……

-80p-