こんなもの愛じゃない。のに、(4)
耳朶に囁かれて、背筋がゾクゾクと泡立った。
パジャマの下に滑り込んできた手が、俺の胸を優しく撫で回す。
「あっ……」
「……なあ、お前はどこをどうして欲しい?」
さっき抜いたばかりだと言うのに、俺の下半身は簡単に熱を持った。
「また、前みたいに乳首でイクか? それとも……ああ、今日は……そうだな、
尻の穴、たくさん舐めてやるよ。ふやけるまで、ずっと」
「ま、待て、そこはっ……」
ズボンを脱がされ、あっという間に下が露わになる。
ついで彼は俺の腰を抱きかかえると、宣言通り、尻穴に舌を這わせた。
「ひゃぅっ……あ、や、貴文っ……」
「ん……ここの初めては、優しく奪うから。時間かけて、ゆっくりな」
「は、ぁ、はぁ、はぁっ……」
貴文が俺の排泄穴を舐めている。
ピチャピチャ音を立てて、嬉しそうに。
あまりのことに、体がブルブルと震えた。視界が滲む。
(……くそ。くそくそくそくそ。なんで。なんで。なんで)
かき乱される。
死んだように萎れていた俺の全てが、ぐんと力を取り戻していく。
胸にも頭にも幸せが溢れ、頬が涙で濡れた。
彼を受け入れたら、まともな幸せなんて手に入れられるわけがないのに。
「好きだ、翔太」
「ん、俺も、俺も……っ」
好き、とは違う。愛とも違う。
もっとドロドロして、ぐちゃぐちゃして、凶悪なもの。
さっきの話が本当なら、俺の苦しみが貴文を喜ばせる。
俺は、貴文が望むなら俺は全身全霊をかけて苦しむだろう。
そんな関係、あんまりだ。
(それなら、いっそのこと……)
擦り切れてしまう前に、死んでしまえたら?
最高に幸せなんじゃないか?
「なあ、貴文……」
「ん?」
「今、俺と一緒に死んでくれ」と頼んだら……
貴文は喜んで死んでくれる気がする。
(……なら、いいか。別に今じゃなくて)
俺はシーツを握り締めると、甘い吐息をこぼした。
(お前のこと好きでつらくて、どうしようもなくなったら、死のう。
死んでくれって頼んでみよう)
それまでは、この地獄のような幸せを堪能するのも、悪くない気がする。
おしまい