ファミリア・ラプソディア

夏の終わりとハッピーバースデー(2)

* * *

 予約していた大量のハンバーガーを買い、僕と帝人さんはイサミさんのお店に向かった。
 バーガーの半分は、お店の人への差し入れだ。

 借りた席でしばらく準備をしていると、ニャン太さんとソウさんが来た。それから時間通りに、類さんも到着する。

「んじゃ、みんな揃ったことだし……ハッピーバースデー、類ちゃん!」

 ニャン太さんに呼応するように、僕らは口々に「おめでとう」と言った。

「マジでありがとな。すげー嬉しい」

 類さんはちょっと気恥ずかしそうに笑ってからすぐに、目の前の山と積まれたハンバーガーと、ポテトフライに目を戻した。
 今か今かと少年のように目を輝かせる類さんに、ニャン太さんは苦笑を浮かべつつ「めし上がれ」と告げる。

「いただきます!」

 類さんはすかさず手近のハンバーガーを掴み、包みを剥がすとかぶりついた。

「ん~~~っ、うまいっ!」

 ニャン太さんがアボカドとか、エビとか、フィッシュバーガーだとかを忍ばせていたが、彼はあからさまにそれらを避けて、お肉マシマシのものばかりを選んでいく。

 相変わらず、類さんは食事になると子供みたいだ。

「……こういう時くらいはね。まあ、野菜食べなくても目をつぶりますよ」

「何言ってんだよ。ポテトはジャガイモなんだから野菜だろ」

「フライドポテトを野菜って……」

 ガクリとニャン太さんが肩を落とす。

 僕はクスクス笑って、残っていたアボカドバーガーを手に取った。
 大きなお肉が挟んであるが、これは大豆肉なのだそうだ。お味はといえば、お肉そのものでちょっと驚く。

「プレゼントは……とりあえず、全部食べ終わってからの方が良いね。ベタベタになっちゃうし」

 帝人さんが、手指についた油を舐める類さんを見て言う。
 その横で、ソウさんがハンバーガーを分解して食べていた。

* * *

 バーガーの山を崩すと、イサミさんがニャン太さんとソウさんが手作りしたホールケーキを運んできてくれた。

 ロウソクはなかった。
 その代わり、26と書かれた大きなチョコプレートが乗っていた。

「ハッピーバースデー、トゥーユー……♪」

 僕らはお祝いの歌を歌った。イサミさんやお店のスタッフも一緒に歌ってくれて、するとノリのいいお店のお客さんも参加してくれて、類さんはちょっと恥ずかしそうだった。

 それからホールケーキは切り分けずに、それぞれが好き勝手にフォークを突き刺して食べた。
「お行儀悪いでしょ」と帝人さんが苦笑いを浮かべたけど、僕はその斬新な食べ方をとても彼ららしいと思った。
 好きな人が好きなだけ。でも、きちんと分け合って。
 誰がどれだけ食べるか、みんな把握しているのだ。(まあ、類さんとニャン太さんはイチゴの取り合いをしていたけど……)

「……そろそろいいかな」

 やがてお腹もいっぱいになり、まったりとした空気が流れ出した頃、帝人さんがカバンから細長いプレゼント箱を取り出した。

「類。お誕生日おめでとう。これ、俺から」

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